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ながさきの森林(もり)

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鹿による森林被害・・・有害鳥獣駆除

シカ被害

全国的に鹿が過去にないくらい増え、その被害には大変困っています。
写真は鹿の角で皮をはがされたヒノキです。
角をこすり付けて研ぐので、こんな傷になるのです。「角こすり被害」と呼んでいます。
小さな傷ですと、樹木の治癒力で自然に巻き込んで、5年以上も経つと表から見ては分からないくらいになるのですが、写真のように大きい傷だと回復できずに腐れが入ります。
腐れはその部分に留まらず、上の方まで進むので、枯れたり、生きていても幹の中がスポンジ状になり、木材として使えません。
このような被害木は間伐をする際に優先して伐採しますが、本数が多くなると間伐で消化できなくなります。

上写真の右の木は、ヒノキの枝を幹に添えてテープで巻きつけています。写真のは巻きつけた枝が枯れて少なくなっていますが、これだけで角こすり被害が予防できます。「枝条巻き付け(しじょうまきつけ)」と呼ばれ、対馬で考案され全国的に広がりつつあります。
森林所有者はこの「枝条巻き付け」を自衛策としてやっていますが、山の木全部に巻きつけるのは到底不可能なんです。

被害2

上の写真の傷は1年経過したものですが、形成層の部分がむき出しの状態で、風前のともし火です。
鹿がなぜ増えたのかは定かでないのですが、とにかく適正頭数といわれる数を大幅に上回っているので、被害が絶えません。

そこで、頭数抑制のために有害鳥獣駆除という許可を取って、捕獲を行っています。
私も狩猟免許(わな)を持っていましたので、捕獲に参加した時のことです。
捕獲はグループで行います、あらかじめわなを仕掛け、わなの方向へ鹿を猟犬が追い込み、わなに掛からなかった鹿をハンターが銃で待ち受けるという猟です。
海へ逃げる鹿もいますので、海上では船で待ち受けます。

鹿1

ネッシー発見、それともイッシーか。

鹿2

いいえ、鹿です。

鹿3

カウボーイよろしく、投げ縄で捕まえてみると、まだ子鹿でした。
子鹿の殺生はあまりにも忍びないので、猟犬のいない山へ帰してやりました。
「大きくなってからは、容赦しないから!・・・」
動物の殺生は、もちろん気持ちの良いことではありませんが、林業者達は、やむなく鹿を駆除していることを理解してください。
それと、捕獲した獣(鹿に限らず)は必ず食べることがルールです。命を粗末にしてはいけないのです。いただきますの精神で。

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| | 2013/01/30 09:45 | |

BRABUSさん

エゾ鹿も増えているんですね。
長崎県対馬の場合、県が鹿を不用意に文化財に指定したものですから、爆発的に増えたという説があります。
一旦指定したものを解除するのに手間取って、遅きに失したそうです。
長崎県の周りは海ばかりですので、特に泳ぐのが得意なのかもしれません。
海上で鹿を捕まえたのは2度目でした。
鹿は船よりも小回りが利きますので、船頭が上手くないと難しいです。

| つしまひのき | 2012/03/25 07:46 | URL | >> EDIT

こんばんは。
こちら北海道でもエゾ鹿による農林業への
被害が拡大した事で駆除と共にエゾ鹿の
有効活用を目的とした新たな食文化を町おこしの
一環としている地域があります。
鹿の頭数はもう人との共生や共存の域を大幅に
超えてしまったようですね。
それにしても泳ぐ鹿は初めて見ました。

| BRABUS | 2012/03/24 22:05 | URL | >> EDIT

福ちゃん福を呼ぶ さん

コメントありがとうございます。
小鹿は可愛いんですけどね。・・
1度、シカのハーレムに突然遭遇したことがあります。
10頭ほどでしたが、シカも驚いたらしく、ドドドドッって目の前を横切って駆けだしました。
シカが人を襲うことはありませんが、それでもチョット怖かったですね。

シカの被害は、樹木の皮はぎだけでなく、樹木の新芽や植えたばかりの苗木を食べてしまうので、木を植えるときには周囲にネットを張って守らなくてはなりません。
それから、シイタケやタケノコ、人里に下りてきて農作物も食べるんですよ。

| つしまひのき | 2012/03/24 13:39 | URL | >> EDIT

こんばんは シカの被害ですか? 鹿はおとなしい動物だと思っていたんですがこんなに被害を齎すなんて・・・びっくりです 森林を守っていくって大変なんですね ご苦労様です 

| 福ちゃん福を呼ぶ | 2012/03/24 03:30 | URL |

ROMIさん

ありがとうございます。
しゃもじ、まな板・・・今は全て化石燃料や金属で出来ていますよね。
竹の笊がプラスティックになり、団扇の骨もしかり。
竹の団扇とプラの団扇、どちらを取りますか。当然ですよね。
竹は循環資源なので二酸化炭素を増やさない(カーボンオフセット)だけでも意義があります。

応援ありがとうございます。

| つしまひのき | 2012/03/23 15:31 | URL | >> EDIT

順天姉さま

いつもありがとうございます。
自然のサイクルが上手く回れば、各々のエレメントが幸せになるのでしょうが、ひょっとしたら人が担当している部分で問題があるのかもしれません。
自分の役割を果たしていないのかも。それとも力みすぎなのかも。
スローライフ、そこそこの生活、共生、頂きます、お互いさま、絆・・・
あっ、昨日のNHKのブータンそのものだ!

| つしまひのき | 2012/03/23 13:15 | URL | >> EDIT

人は森林からどんどん搾取していいんです。食料でも燃料でも。
搾取をしないから森林が荒れてきていると思います。

・・・本当にそう思います。
昭和の20年代迄は台所で使う物はすべて、おしゃもじ、まな板、笊、鍋や釜の蓋etc.みんな山からの恵みでしたね。そして、そういう商品が沢山売っても居ました。

私のブログで ながさきの森林 紹介させて頂きました。
❤ご苦労様です。これからも豊かな山を守ってください。

| ROMI | 2012/03/23 09:38 | URL |

いつもこちらの記事で勉強させてもらっています。
命のサイクルが無駄なく回る事ができれば、私達も自然も動物達も命を全うして、それこそ「幸せ」といえる状態がくるのかな?なんて考えてしまいました。

森林の被害が私達に「もっと考えろ」と言っているように思います。

| 順天姉 | 2012/03/22 21:39 | URL |

yokoblueplanetさん

コメントありがとうございます。

山で生活をする人々は必ず山の神を祀っています。
簡単な祠をつくり、お供えやお神酒をささげます。
山からの恵みや命を頂くことへの感謝、山仕事の安全を祈ります。
自然に対し畏怖の念を抱き、謙虚に対峙する姿勢は大切だと思います。

| つしまひのき | 2012/03/22 17:21 | URL | >> EDIT

ROMさん

コメントありがとうございます。

いろんな原因が複合しているのだろうと思います。
山で生計を立てる人が少なくなったこともあるでしょう。
野犬(のいぬ)などの天敵が餌が多い町に下りてきたり、台風などで倒れた森林に鹿の餌になる植物が多く生えてきたり、かつての自然のバランスが崩れているのは確かでしょうね。
人は森林からどんどん搾取していいんです。食料でも燃料でも。
搾取をしないから森林が荒れてきていると思います。

| つしまひのき | 2012/03/22 17:04 | URL | >> EDIT

どちらにも辛いですね。

こんばんは。
現場の辛い気持ちが伝わってくるような文章、双方ともに辛い状況ですね。
頂きますの気持ち,大切にしたいです。

| yokoblueplanet | 2012/03/22 16:02 | URL |

かわいい子鹿

かわいいとばかり言っていられない最近の野生動物たち

山の自然界のバランスが崩れている原因が不明なのでしょうか?
山で生計を立てる人が今はいないのも(炭焼き、林業など)大きな原因なのでしょうか?
北海道の町中には鹿やキタキツネは当たり前で昨年秋には熊が出没して怖~い!と友人からもメールがあったり。
森林を守る今はごく限られた少数の方々のご苦労がますます増えますネ。

森林あってこその田園であり都市であり海であり・・・。
そこから生まれる命に感謝ですネ、粗末には出来ませんが、街中にあふれる商品の多さ!菜っぱ一つ・魚一匹の命に感謝をする人もほとんど居なくなりました。
感謝を忘れるほどの豊かさは滅びに向かって行くのでしょうか?

| ROM | 2012/03/22 12:29 | URL |















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