fc2ブログ

ながさきの森林(もり)

--------------------------------------------------森林、長崎、対馬、興味深い出来事、ヘェ~な話

<< PREV | PAGE-SELECT | NEXT >>

>> EDIT

紙一枚からの思いやり・・・木になる紙

「木になる紙」をご存知でしょうか。

林業は木材価格の低迷や働く人不足でジリ貧の状態です。
木を育てて売っても、つぎ込んだ経費は回収できないために、森林の所有者は森林から離れてしまっています。
このため森林を健全な状態に保つための間伐や手入れが行われずに、荒廃した森林が増えていることはメディアなどでも取り上げられています。
森林が荒廃すると、災害に弱くなったり、二酸化炭素の吸収力も低下し、地球温暖化防止の働きも低くなります。

間伐対比
間伐がされずに暗く不健康な森林      間伐や手入れが行き届いて明るく健全な森林

このような状況に対処する一つの方法として「木になる紙」の取組みがあります。
間伐材を紙に加工して、その売上収入の一部を森林に還元しようというものです。

写真は「木になる紙」のコピー用紙です。
木になる紙の箱

この取組みの仕組みは、
・間伐材を、森林組合などが集めて製紙会社に出荷
・製紙会社は間伐材をパルプにし、古紙パルプと混ぜて紙を製造
・この紙の売上金や販売会社の収益の一部を、森林の整備に役立てるために森林所有者に還元

間伐材を使った「木になる紙」は、今のところ消費量(生産量)が少ないので、製造コストは割高になり、製品の価格も若干高くなります。でも、少し高くても森林の保全に貢献したいという消費者がこの紙を購入しているのです。
この「木になる紙」の消費が増えれば価格も安くなることでしょう。

この取組みは、九州の行政機関と製紙・販売企業が官民共同で始めたもので、今のところ九州限定となっています。

木になる紙2
コピー用紙の箱には「木になる紙」の商標のほか「木になる紙」の目的・意義などが書かれています。

木になる紙3

木になる紙4

左は、カーボンオフセットで地球温暖化防止に貢献しているとのマーク
中は、間伐を進めようのマーク
右は、京都議定書で日本が約束した6%削減のうち3.9%を森林でまかなうというマーク(本当は3.8%だけど、後で分かったことなので修正はしないことにした)

現在、A4サイズのコピー用紙1箱(2,500枚)の売上当り50円が森林所有者に還元されており、出荷した間伐材1立方メートル当りでは1,000円程度になります。
官公庁をはじめ、企業にも少しずつですが「木になる紙」の利用が広がっています。

平成22年度の実績は、
○ 約2万立方メートルの間伐材を出荷し、A4サイズ換算で約27万箱を販売。
○ 約880万円が森林組合等を通じて森林所有者に還元。

このような取組みがもっと広がれば金銭的な面以上に、森林所有者も森林を健全に守っていくことへの誇りと意欲が湧くことでしょう。

名刺

森林還元はありませんが、間伐材を使った名刺もありますよ。

↓よろしければクリックを
にほんブログ村 地域生活(街) 九州ブログ 長崎県情報へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト



| 森林 | 17:40 | comments:15 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

静岡のお蕎麦屋さんへ


コメントありがとうございます。
いつも訪問いただき、重ねてお礼申し上げます。

静岡県では、富士再生の森?だったと思いますが、県外の方も巻き込んで森林再生の取組みがあるようです。

「木になる紙」の活動よりも、もっと小さい地域の活動も多いので、地域密着型も多くの人に関心を持ってほしいですね。

| つしまひのき | 2012/03/21 12:52 | URL | >> EDIT

ROMIさん

コメントありがとうございます。
近いところの森林が、かつては宝の山だったのですね。
でも、今は何でも買えるし便利になったので、裏山で薪や食べ物を調達する必要がなくなったし、プラスティック製品に置き換わってしまいました。
そして、山は死んでしまいました。
山が森が生き返るよう、どんどん利用することが必要ですね。

関東でも、遠からずこの取組みがスタートするはずですので、そのときはよろしくお願いします。

| つしまひのき | 2012/03/21 12:45 | URL | >> EDIT

Re: タイトルなし

いつもありがとうございます。
ホームセンターで扱ってもらえれば、普及すると思います。
でも、安い紙が隣に並んでいると、よほど理解してくれてないと高い方に手が出ませんね。
私の会社が「木になる紙」A4サイズ500枚〆を399円で買っていますが、ホームセンターでは普通の紙が250円程度で売ってますので、この差はチョットきついです。
でも、再生紙が一般化する前は、バージンパルプ(輸入)の紙より再生紙が高かったのですが、いまでは再生紙が当たり前になりました。
地道に頑張れば、いずれは変わっていくでしょうね。

| つしまひのき | 2012/03/21 12:38 | URL | >> EDIT

こんにちは

健康な山が増えて 全国へ広がるといいですね。
静岡県でも色々な取り組みが行われているのですが・・・
なかなか・・・というのが現状です。

この取り組みが良いモデルケースとなって大きな力となると
いいですね(笑)

| 手打ちそば蕎友館 井出明久 | 2012/03/21 11:43 | URL |

少しづつでも活用したい

私の知り合いの山持ちも 『もう裏の山に入れない、道が無くなった』と、お爺さんの代は裏の山で筍も木の芽もキノコも蕨も、家で使う薪・材木などと宝の山だったそうですが。

日本の山がこのような取り組みで少しづつ蘇えって『お爺さんの代』と同じ生きた山になってほしいですネ。
このようなコピー用紙を関東で目にする時は絶対に愛用します!

| ROMI | 2012/03/19 15:29 | URL |

こんにちは。
先日関西のテレビ局の番組で武田邦彦先生が、荒廃した森林の事を言ってました。
今のエコは間違ってると言われていました。
森林を使わない事がエコと思っている人が多いと思いますが、経済の問題で森林を使っていないのですね。

もっとたくさんの人に「木になる紙」を知ってもらえるといいですね。

(空段ボール全国に送るだけでも宣伝効果ありそう。言いたい事が全て書いてあるもん。大手のホームセンターとかが買って大量に売りさばいてくれんかな~なんて考えてしまう私はおかしいでしょうか~^^;)

| 順天姉 | 2012/03/19 15:08 | URL |

あみ・もと さん

こんにちは。コメントありがとうございます。
コピー紙の大口需要者(官公庁、企業など)にしかPRしていない関係で一般消費者にはあまり知られていません。
もっと宣伝しなければいけないと思いますが、宣伝費がないものですから。
第1次産業を大切にしない国は滅びます。あのアメリカでさえも農業国で、自国の農業を大切に守っているのですから。

| つしまひのき | 2012/03/19 13:47 | URL | >> EDIT

極楽仕事人!さん

コメントありがとうございます。
返事が送れて申し訳ありません。

森林組合は受け皿としてがんばってもらってます。
企画段階でがんばったのは、紙屋さん(主に問屋さんと紙の加工やさん)でした。
九州以外でも、取組みが具体化しているところもありますが、製紙会社が多いところは調整に難航しそうです。


| つしまひのき | 2012/03/19 13:26 | URL | >> EDIT

そんな取組みがあってるなんて
知りませんでした。
木になる紙のネーミングも
良いですね。

林業、漁業、農業、、大事な
日本の第一次産業をもっと
大切に守って行かないと
いけませんね。

| あみ・もと | 2012/03/18 11:19 | URL |

地球温暖化

毎度!

九州の森林組合で

そのような取り組みをしていた事は知りませんでした。

この活動が日本全国に広がればいいですね!

| 極楽仕事人! | 2012/03/18 07:30 | URL | >> EDIT

このゆびとまれ☆遠藤 さん

こんにちは。
コメントありがとうございます。
日本の家屋も障子の部屋が少なくなり、障子紙の需要はかなり少なくなっている上に、障子紙のパルプまで輸入されているんですか。
日本家屋がウサギ小屋と言われたころがありましたが、木や紙は呼吸をしているので、日本の気候にマッチした優れた素材で、よほど健康的な小屋ですよね。

工業製品を輸出するために、農産物林産物などの輸入を増やすなんて、どこを見て政治をしているのか。
一品目を大量に作らなければ成り立たない昨今の農業。伝統的な日本農業はどうなるのでしょうか。

こちらこそ、よろしくお願いいたします。

| つしまひのき | 2012/03/17 13:42 | URL | >> EDIT

ノリーダヨ さん

コメントありがとうございます。
まだまだ一般消費に結びついていないので、PRが足りないのでしょう。
官庁でも、独占禁止法やWPOなどの規制で消費全量を「木になる紙」にすることはできませんが、長崎県庁では年間3000箱程度をこのコピー用紙に変えてもらいました。経費が増えるということで経理担当の抵抗もありましたが、トップの判断で可能になったんです。
消費者の理解が大切ですね。


| つしまひのき | 2012/03/17 13:01 | URL | >> EDIT

yokoblueplanetさん

おはようございます。
コメントありがとうございます。
九州で始まった取り組みですが、全国的にも広がろうとしており、条件整備が進められているようです。
このシステムも九州内の製紙会社との調整ができず、本州の製紙会社の協力で実現しました。
結構、難しい課題がありますね。販売会社(卸問屋)との調整も難しいです。

自家山林の木で家を建てるのは厳しいですね。
製材品を買って建てる方が安いですから。
木材を伐り出す経費、製材経費で丸太の部分が飛んでしまいます。
地産地消も難しいですね。

| つしまひのき | 2012/03/17 11:02 | URL | >> EDIT

勉強不足でした

こんばんは。
再生紙を使おうとの推進活動は知ってましたが、木になる紙の運動は知りませんでした、勉強不足ですね。
大量に消費する企業や官庁が協力してくれたらかなりの森林所有者が間伐を行えるようになりますね、一石二鳥の取り組みが広がっていくといいですね。

| ノリーダヨ | 2012/03/16 18:44 | URL |

九州圏外へも?!

こんばんは。
いいアイディアですね。九州圏外へも出荷の予定はあるのでしょうか?

私も持ち山の木を使って家を建てようと調べた事がありますが、経費的にとても無理でした、残念な事に。木を切り出して製材してと云う過程にもの凄くお金が掛かってしまうのです。売る事も出来ない、の無い無い尽くしでした!
何とかならないのかとかなり真剣に悩みました。。。

| yokoblueplanet | 2012/03/16 17:46 | URL |















非公開コメント:

TRACKBACK URL

http://chatpapa.blog.fc2.com/tb.php/70-2c088b3b

TRACKBACK

<< PREV | PAGE-SELECT | NEXT >>