「木になる紙」をご存知でしょうか。
林業は木材価格の低迷や働く人不足でジリ貧の状態です。
木を育てて売っても、つぎ込んだ経費は回収できないために、森林の所有者は森林から離れてしまっています。
このため森林を健全な状態に保つための間伐や手入れが行われずに、
荒廃した森林が増えていることはメディアなどでも取り上げられています。
森林が荒廃すると、災害に弱くなったり、二酸化炭素の吸収力も低下し、地球温暖化防止の働きも低くなります。

間伐がされずに暗く
不健康な森林 間伐や手入れが行き届いて明るく
健全な森林このような状況に対処する一つの方法として「木になる紙」の取組みがあります。
間伐材を紙に加工して、その売上収入の一部を森林に還元しようというものです。
写真は「木になる紙」のコピー用紙です。

この取組みの仕組みは、
・間伐材を、森林組合などが集めて製紙会社に出荷
・製紙会社は間伐材をパルプにし、古紙パルプと混ぜて紙を製造
・この紙の売上金や販売会社の収益の一部を、森林の整備に役立てるために森林所有者に還元
間伐材を使った「木になる紙」は、今のところ消費量(生産量)が少ないので、製造コストは割高になり、製品の価格も若干高くなります。でも、少し高くても森林の保全に貢献したいという消費者がこの紙を購入しているのです。
この「木になる紙」の消費が増えれば価格も安くなることでしょう。
この取組みは、九州の行政機関と製紙・販売企業が官民共同で始めたもので、
今のところ九州限定となっています。

コピー用紙の箱には「木になる紙」の商標のほか「木になる紙」の目的・意義などが書かれています。


左は、カーボンオフセットで地球温暖化防止に貢献しているとのマーク
中は、間伐を進めようのマーク
右は、京都議定書で日本が約束した6%削減のうち3.9%を森林でまかなうというマーク(本当は3.8%だけど、後で分かったことなので修正はしないことにした)
現在、A4サイズのコピー用紙1箱(2,500枚)の売上当り50円が森林所有者に還元されており、出荷した間伐材1立方メートル当りでは1,000円程度になります。
官公庁をはじめ、企業にも少しずつですが「木になる紙」の利用が広がっています。
平成22年度の実績は、
○ 約2万立方メートルの間伐材を出荷し、A4サイズ換算で約27万箱を販売。
○ 約880万円が森林組合等を通じて森林所有者に還元。
このような取組みがもっと広がれば金銭的な面以上に、森林所有者も森林を健全に守っていくことへの誇りと意欲が湧くことでしょう。

森林還元はありませんが、間伐材を使った名刺もありますよ。
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